2024年から施行された医師の働き方改革で、医師を取り巻く状況はガラッと変わります。特に大学病院の医師は、その影響を避けられません。
激務化や薄給化の加速など…医師の働き方改革は必ずしもメリットばかりをもたらすとは限りません。さまざまなケースに対応できるように、あらゆる準備をしておくことが重要です。
今回は医師の働き方改革の概要や起こる問題、対策を見ていきましょう。
2024年から始まった医師の働き方改革の概要
厚生労働省の資料、専門用語が多くて少し分かりづらいですよね。医師の働き方改革によって、病院はA、B、Cの3つのグループに分けられました。簡単に言うと、大学病院や大きな病院はBとC、それ以外の病院はAという感じです。
どのグループでも、28時間以上連続で働いてはいけない、仕事と仕事の間に9時間休まなければならない、といった共通ルールがあります。
ただし、残業時間の上限は病院の規模によって異なり、大きな病院の方が高めに設定されています。このあたりの詳細は、厚生労働省の「医師の働き方改革」に関する資料を参考にしてみてくださいね。
これは、医師の働き方にとって、どのような影響があるのでしょうか?
医師の過酷な労働環境は、以前から問題視されてきました。
働き方改革は、医師の健康を守り、医療の質を維持するためには必要な取り組みです。
しかし、その一方で、新たな問題も発生する可能性があります。
これから、医師の働き方改革によって何が起きるのか、2024年のルール変更に向けて私たちは何をすべきなのか、一緒に考えていきましょう。
医師の働き方改革により大学病院勤務医の給料が減る
2024年の働き方改革、実は大学病院の医師にとっては、ちょっと心配なニュースなんです。これは業界では常識となっていますが、大学病院の給料って、驚くほど低いんです。
病院にもよりますが、手取りで月に20~30万円程度。とても生活できる給与水準ではないので、多くの医師はバイトで生活費を補っているのが現状です。
でも、2024年からは、そのバイトが難しくなってしまうかもしれません。
その理由は3つ。
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- バイトにも適用される新しいルール
- 仕事と仕事の間に休まなきゃいけない「勤務間インターバル」
- 厳しくなる時間管理
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これらが、大学病院の医師の生活を大きく変えてしまうかもしれないんです。詳しく見ていきましょう。
バイトにも適用される新しいルール
現在、医師のアルバイトには特に規制がありません。そのため、時間と体力さえ許せば、いくらでも稼ぐことが可能です。
しかし、2024年からの働き方改革以降、この働き方は難しくなるでしょう。なぜなら、アルバイト先の病院によっては、そこで働いた時間も「時間外労働」としてカウントされてしまうからです。
例えば、あなたが平日の夜間や週末に救急病院でアルバイトをしているとしましょう。週に1回13時間、週末に9時間働くと、月に合計88時間もの時間外労働が発生します。
問題は、この時間が全て大学病院での時間外労働としてカウントされることです。大学病院で月に12時間以上時間外労働が発生すると、病院側に罰則が科せられてしまうため、大学病院としては、医師にアルバイトに行って欲しくないのが本音です。
高度な医療を提供し、病棟管理も担う大学病院では、月の時間外労働を12時間未満に抑えるのは至難の業です。長時間の手術や緊急対応などで、あっという間に12時間を超えてしまうことも珍しくありません。
つまり、2024年以降は、大学病院の医師がアルバイトで収入を補うことが難しくなる可能性があるのです。
やっかいな勤務間インターバルのルール
2024年の働き方改革で、見逃せないのが「勤務間インターバル9時間」のルールです。先ほどの例で考えてみましょう。
日曜日のアルバイトは18時に終わるので、翌朝までの間に9時間以上のインターバルを確保できます。しかし、水曜日のアルバイトはどうでしょうか?
大学病院の勤務開始時間が8時半だとすると、アルバイトを朝7時まで続けてしまうと、インターバルはたったの1時間半しか取れません。働き方改革では、9時間のインターバルが必要なので、16時まで次の仕事をしてはいけないことになります。
でも、16時から大学病院で働くなんて、現実的ではありませんよね?そうなると、水曜日の夜のアルバイトには行けなくなってしまうんです。
この勤務間インターバルのルール、一見すると医師の休息時間を確保するための良いルールに思えますが、実際には、アルバイトの選択肢を狭めてしまう可能性があるのです。
A病院でも行われる厳しい時間管理
「A病院なら時間外の上限を超えて働いても大丈夫!」
そう思っていませんか?
確かに、A病院は罰則規定がなく努力義務とされていますが、全国の様々な病院の先生方にお話を伺ったところ、A病院でも2024年に向けてシステムを大きく変更しているようです。
つまり、「A病院だから安心」と油断して、今まで通りアルバイトに行きまくるのは難しいかもしれません。現在、A病院の時間外労働は努力義務ですが、今後はB病院やC病院と同じように厳しく管理される可能性が高いでしょう。
「バレないように時間外労働を申告しなければいいのでは?」という声も聞こえてきそうですが、2024年から施行される働き方改革は非常に厳格です。
GPSなどを使って医師の時間外勤務を徹底的に管理する病院も出てくるようですから、こっそりアルバイトをするのは容易ではないでしょう。
医師の働き方改革は医師を集められない病院を淘汰する
2024年の働き方改革は、病院の未来を大きく左右する分岐点となるでしょう。
今まで、アルバイトの先生に頼ってなんとか経営を維持してきた病院は、厳しい現実に直面することになります。常勤医だけで病院を回していく必要があり、時間外労働の上限や勤務間インターバルのルールも適用されるため、これまでのような働き方は許されません。
病院の管理者である院長や副院長は、これまでのように無制限に当直に入ることも難しくなるでしょう。体力的な限界もありますし、働き方改革の精神にも反することになります。
一方、経営基盤がしっかりしていて、待遇の良い病院は、多くの医師を抱え、9時間のインターバルルールを守りながらも、夜間当直を常勤医で回すことが可能です。
結果として経営力があり、医師にとって魅力的な環境を提供できる病院が生き残り、そうでない病院は淘汰されてしまう可能性が高いのです。
医師の働き方改革は、医療の質を向上させるための重要な一歩ですが、同時に、医療業界の構造変化を加速させる可能性も秘めていると言えるでしょう。
医師の働き方改革に向けてできること
常勤先を持たないフリーランス医には、今のところ時間外労働の上限規制は適用されません。「フリーランス医師」という選択肢が気になる方は、こちらの記事を参考にしてください。
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「じゃあ、フリーランス医になればいいじゃん!」と思うかもしれませんが、ちょっと待ってください。
確かに、現状ではフリーランス医の方が収入面では有利かもしれませんが、将来どうなるかは誰にも分かりません。国の制度や政策によって、状況は大きく変わる可能性があります。
だからこそ私たち医師は、医師の働き方改革で生じる問題をきっかけに、医師以外の収入源を確保しておくことが大切です。
自分でビジネスを始めるのもよし、不動産投資や株式投資で配当収入を得るのもよし。
大切なのは、医師としての収入だけに頼らない生き方を選択肢として持つことです。
病院で働いていると、年をとってもアルバイトや当直を続けている高齢の医師を見かけることがありますよね。それは、医師としての収入に依存しすぎた結果かもしれません。
日本の医療制度は、少子高齢化や財源不足など、様々な問題を抱えています。この状況下で、医師の待遇が今後大幅に改善されることは、残念ながら期待できません。
だからこそ、私たちは、今こそ行動を起こすべき時なのです。医師以外の収入源を確保し、将来の不安を少しでも減らすために、できることから始めてみましょう。
それが、あなた自身と、あなたの大切な人を守ることにつながるはずです。
医業以外の収入を得る方法は、本当にたくさんあります。副業やスモールビジネスに興味がある方は、こちらの記事を参考にしてください。
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医師の働き方改革:過酷な労働から解放され、自分らしいキャリアを築くために
医師の働き方改革により、状況が一変することが予想されます。
働き方改革自体は、医師の健康を守る観点からすると喜ばしいことですが、お金の面で考えると、何も対策をとらないと収入低下は免れないでしょう。特に大学病院の医師は、生活に大きく関わります。
お金の勉強をして適度に節約しながら貯金や投資、ビジネスにチャレンジして医師収入だけに依存しないようにしておきましょう。